「なんか流行ってそうだし、観に行こうかな♪」な人にとって地獄の163分間になる映画、それが『ブレードランナー2049』です。
まずは前作「ブレードランナー」を観ることをおススメします。最近だとAmazonプライムビデオでレンタル(100円)or購入(500円)で観るのが手っ取り早いかと。たまに無料の場合もあります。
『ブレードランナー』は地味で長いし眠い
前作『ブレードランナー』を観て「前作も地獄じゃあねぇか!」と思った人は絶対に観に行ってはいけない。それが『ブレードランナー2049』なのです。そもそも、僕が前作『ブレードランナー』を観て感じたのが「地味で長いし眠い」という感想。主人公デッカード(ハリソン・フォード)は弱いし、どうも感情移入できないし……でも、何かが引っかかる映画!!!!
そこでインターネットを徘徊し『ブレードランナー』に関する考察をたくさん読みました。その上で観ると……面白い!?単に理解力がなかっただけなのか!?単にこれだけ調べたんだから、楽しまないと損だと感じているだけなのか……?そんな思いを抱きながら各バージョンを見比べていました。
今回『ブレードランナー2049』公開にあたり久々に観ましたが……やはり面白い。いや、ストレートに娯楽として面白いかと問われるとそうでもないのですが、「これこれこの感じ」という安心感がある映画というか……。ということで、今作は『ブレードランナー』の世界観やテーマを知った上で「続きが気になる」と思えた人向けの映画です。そうでない方には、たぶん地獄の163分間とだけお伝えしておきますね。
カルトSFと言われるくらい熱狂的なファンが多い作品の続編なので、自分では深く語ることもできませんが……もう一度観に行く前に書き記しておこうかと。また、僕にとって素晴らしい163分間だったことを最初にお伝えしておきます。
前作の次に観るべきもの
オフィシャルサイトで前作の舞台である2019年~2049年の間に何があったのか?を見ておくと、さらに2049の世界観を楽しめます。内2022年、2036年、2048年はそれぞれ短編動画が公開されています。
「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
「2036:ネクサス・ドーン」
「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」
や、ほんとうに予習がとても大変な作品ですが、それだけに本編への期待が高まります。2022だけアニメなのは違和感がありましたが、アニメならではの表現があったり監督が日本人だったりで、ちょっとだけ親近感が湧きました。
人間とは何か?
今作『ブレードランナー2049』には主人公K(ライアン・ゴズリング)の相棒のようで恋人のようでもあり、それ以上のようでもあるキャラクター、AIのジョイ(アナ・デ・アルマス)が出てきます。肉体はないけど意思を持っている。レプリカントとは別の意味で、人間とは何か?を考えさせられる存在です。
カタチは違いますが、ちょっと前に観た映画「楽園追放-Expelled from Paradise-」を思い出しました。この作品は肉体を持たずにデータとして生きる事を選んだ人間、地球で今まで通り生きている人間、意思を持つロボットとの対比でした。おっぱいの大きなちょっとロリっぽくて、露出度の高い女性主人公に抵抗がなければ、観て損はしないかなと思います。
あ、AIの進化で考えると「エクス・マキナ」もオススメです。
脱線しつつ、ほかにも書きたいことはあるものの……書くより他のサイトでいろいろ見る方が楽しくなったきたり。という事で、
以下、ネタバレを含む感想箇条書き
- 機械類がブレードランナーの世界観のママで安心した。スマホやら空中のディスプレイを操作するみたいなのはなし!ポリススピナーに搭載されていたドローンや、AIのジョイを持ち出すことができるエマネーターは近未来間がありましたが、僕は気になりませんでした。
- 日本語のイントネーション「破壊」でちょっと笑いそうになる。前作の「2つで十分ですよ」ほど記憶に残る日本語はなし!
- ガフの羊の折り紙にニヤリ。
- ジョイ役のアナ・デ・アルマスがとにかく可愛い。各種衣装はKが頑張って課金したんだと思いながら観てしまいました。切ない。
- ハリソン・フォードのおじいちゃん感!デッカードは人間にしては強すぎる気も……。どんだけ溺れさせるねん!と思いました。あれ、お湯でやってるようです。しかし、あの世界観の海にしてはキレイな水でしたね。
- 木馬は元はユニコーンだったのか?と思わせるザラつきが頭頂部に見える気がします。出所を調べるシーンの透明の筒に入れてる辺りが特に。
- デッカードがレプリカントかどうかは不明?ウォレスが言ってたのは、あくまで出会いが仕組まれた可能性の提示でいいのかな?個人的には人間であってほしいです。
- レイチェルの再現度が凄い。僕は観ていませんが、ターミネーターで若いシュワちゃんが出てきたのと同じ手法ですかね?恐ろしい時代です。
- ラヴは人の死に直面すると涙を流す?人を殺すのは苦しいけど、命令には忠実でなければならないと理解。レイチェルが黒い衣装だったのに対して、真っ白なのも印象的ですね。人間を見下している部分もあるし、ウォレスをどう思ってるのか気になる。最後、スピナーから出てきて……ないですよね?ちょっと気になります。
- 蜂がたくさんいたのは……レイチェルがテストされた時の回答との比較?Kは殺すどころか払いもしなかった。それはそれで人間らしくないという。あとは地球環境の回復を意味する?デッカードは蜂蜜で生き延びているのか?
- ジョイ=量産型で、全ての持ち主に対して「あなたは特別」と語り掛ける存在?常にウォレス側がジョイを操る事でKを誘導していたのか?それともアンテナ折ってからはジョイの意思か?とはいえ、操られていたならラヴさんもあんな苦労はしないか。位置情報特定くらいかな?娼婦のレプリカント マリエッティからの「空っぽ」発言など作りもの同士の会話も切ない。AIスピーカーが進化すれば本当に実現しそう。
- Kがステリン研究所の所長アナ・ステライン=デッカードとレイチェルの娘と確信したタイミングがよく分からなかった。Kの記憶を見て泣いていたのは覚えてるけど…もう一度観たい(本物の記憶を活かしてるってセリフを思い出すシーンがあったから、それかな?)。ラストは仮に免疫不全が本当なら出ていけないし、出ても追手がスグに来そう。存在そのものを知られた訳だし……詰んでる感がスゴい。いや、ウォレス社にはバレてないしセーフか?Kは警察にスピナー追跡されてるだろうし、詰んだと思う。生きてても。
- 前作は人間?かつ主人公のデッカードに感情移入できなかったけど、レプリカントのKには感情移入できた。ここは前作のロイと重なりますね。163分間を長く感じなかったのは、主人公に感情移入できたのも大きいと思います。一緒に謎にせまりつつ、突き放され……そこが切ない。
- レプリカントのKは自由に出歩け、最後に本物の雪に触れていた。人間?であるアナ・ステラインはガラスの中から出られず、ホログラムの雪に触れていた。AIのジョイは出歩けるようになったが、何にも触れる事ができない。切ないですね。
ざっと書きつつ、パンフレットを読んだり映画評論家の町山智浩さんの話を聴いていると……もう一度観たい欲が高まるばかり。前作が古い映画という事もあり、映画館にいたのも40代、50代の方が多かったように思います。ぜひ、前作を含め若い人にも観てもらいたい!観たあとに「こんな考え方もあるのか、そんな考え方もあるのか」と、他人の感想を読むとまた観たくなる!そんな映画でした。次はIMAXで観ようと思っています。上下の幅がもう少し広がる=ジョイのあのシーンでおっぱ……見えないだろうな。
おまけ
併せて聴いておくとさらに面白い!?町山智浩さんの解説。
【町山智浩の映画時評】ブレードランナー 2049
【ネタバレ注意】映画『ブレードランナー2049』町山智浩が疑問に答える2049秒間